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『ミク時』と食べ物 

2018, 05. 09 (Wed) 22:30


『ミクと時のひなた』、いつもご覧いただいてありがとうございます。今作はぼく自身、はじめての「ウェブ上での連載」という形式であり、当初はどうなることかと気をもんでおりましたが、実際に始めてみると予想した以上に楽しんでいる自分がいます。うーむ。こんなことならもっと早くからやっていればよかった。

物語の方は佳境に入り、主人公のひなた前にずっと探し求めていた父親が現れます。これから終盤に向けさらに一山ふた山、大きな展開が続きますけれど、この稿では少し目先を変えて、この『ミク時』世界内で描かれる「食べ物」について述べたいと思います。この作品の中には(主にひなたのタイムスリップ先の過去で)いくつかの食べ物や飲み物が商品名と共に登場しますが、これはみな実際にある商品です。そのすべてがいわゆるご当地産、「北海道限定商品」であり、われわれ北海道民にとってはおなじみのもので、ぼくも日頃食したことがあるものばかりですが、他県にお住まいの方にはわからないものもあるかと思いますので、かんたんに紹介させていただきたいと思います。


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まずリボンナポリンです。

1980年のひなたが探偵と一緒に父の調査にむかうため、迎えに行った先の喫茶店で探偵・黛がスパゲティといっしょにナポリン飲んでいる描写があります。この探偵、察するにどうやら甘党のようで、実際に描くかどうかは別として、書いていて妙にこの手のシーンを思いつくことが多かったですね。こういうときは流れに任せてさっさと書いてしまうのが正解で、それが後になって思わぬ形でキャラクターに彩りや膨らみをもたらすことになったりします。

さてリボンナポリンですが、これはサッポロビールの製品で、「リボンシトロン」の姉妹品となります。調べてみると北海道では1911年から販売されているそうで、第一次世界大戦よりも以前から作られていると考えると目茶苦茶歴史がありますね。子どもの頃はよく飲んだ記憶がありますが、最近はあまり見かけません。中身はふつうのサイダーですが、ほんのり甘く味がついていて飲むと友達と放課後駆け回って遊んでいた少年時代がなつかしく蘇ります。

今年の2月、大通りの札幌雪まつりにいったとき、リボンちゃんの雪像があってそのかわいらしさに思わず写真を撮ってしまいましたが、そのときの記憶が残っていたのかもしれません。記憶つながりで言うと小学生の頃、学校の社会科見学でビール工場へ見学に行って、そのときジュースを飲ませてもらってすごく嬉しかったこともおぼえていますね。なにしろ子ども時分ですから、なんでも美味しく感じたなあ。

今では炭酸飲料自体をあまり飲まなくなってしまったので子どもの頃に比べて飲む機会はなくなってしまいましたが、それでもたまにコンビニの棚に並んでいるのを見かけるとノスタルジーにかられてしまいます。これからも身近にあって欲しい、リボンナポリンはそんな飲み物ですね。


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それにたいしてカツゲンはどこのお店でもよく見かけます。製造元は雪印メグミルクで、これまた北海道限定で販売している乳酸菌飲料です。地元の人間にとってはおなじみの飲み物ですね。作中ではひなたと探偵が車内で張り込みをしているときに、ひなたがカステラと一緒に買ってきてと頼むシーンで登場します。

味は・・・「ビックル」とかに近いかな。おなかに優しい感じの飲み物です。ぼくの子どもの頃は銭湯の冷蔵庫にコーヒー牛乳なんかといっしょにおいてあって、お風呂上がりによく飲んだ記憶がありますね。製品名の「カツゲン」にちなんでか、験担ぎに受験シーズンの受験生によく飲まれるという噂を聞いたことがあります。(「キットカット」と同じような感じでしょうか)


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ビタミンカステーラはかつて商店の棚によく置いてあった品です。そういやばあちゃんちにも置いてあったなあ。高橋製菓が作っているカステラで、子どもの頃は気づきませんでしたが、これも地元北海道産の製品だったのですね(旭川)。中身は正直普通のカステラですが、ぼくら子どもにとってはついつい手に取ってしまうような身近な食べ物でした。そのあと成長してからも時々食べていて、二十歳ぐらいの時、上述のカツゲンとこのミルクカステーラをいつもコンビニで買っていたら「いつも同じだね」と友達に笑われたことがあります。ぼくはどうもそういうところがあるらしく、打ち合わせに角川のビルに行くたびに「おーい、お茶」の500㎖のペットボトルを出していたら、そのいつも寸分違わぬ行動を当時の担当さんに笑われてしまったことがあります。




地元を舞台にした物語を書こうと決めたとき、せっかくだから地元民ならではのディテールやエピソード、土地勘がある者ならではの細やかな世界を描いてみようと考えました。特に本作は「タイムスリップもの」ということもあって、過去の札幌の街の細部や情報については事前にずいぶん調べました。誰にとってもそうかもしれませんが、「地元」というのはそこにいることがあまりに自明なあまり、その居心地の良さに甘えて土地や風土について調べたり考えたりすることをつい怠りがちになるものですが、ぼくにとってもこの物語に当たって自分の暮らすこの街を改めて見つめ直すことはよい契機となったように思います。

実際、子どもの頃の記憶を当たったり、昔の文献を当たったり渉猟したりすることはたのしく、書いている間中わくわくしながら机に向かうことが出来ました。それに対して、こうした地元の食べ物を作中に出す行為は、どちらかと言えば「余暇」というか、創作の上では遊びの部分にあたりますが、そうしたキャラクターの肉付け的な部分を含めても、これらのディテールはぼくにとって作品世界を目の前に現出させる上で大きな力となってくれました。




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ほんとうは道民のソウルフード(?)、「焼きそば弁当」を探偵が食べている場面とかも作中に入れ込んでみたかったのですが、その間がなく断念したのが心残りといえば心残りですね。いつの日か続きでも書くことがあったら挑戦してみたいですね。




コメント

Roh

 読んでいても思っていましたが、改めて観てもやはり馴染みなくて面白いです。
リボンナポリンは特に飲んでみたいですね。

2018/05/10 (Thu) 03:54 | Roh | 編集 | 返信

seiseino

Re: タイトルなし

ありがとうございます。
地元民って案外ご当地産の存在に気づかないものですよね。
きっと全国各地に「あるある」ネタは存在するんでしょうね。

2018/05/12 (Sat) 20:29 | seiseino | 編集 | 返信

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