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本棚 

2016, 10. 21 (Fri) 00:30


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部屋は綺麗な方です。

と、書くとなにやらぼくがすごい綺麗好きで立派みたいですが、全然そんなことはありません。ただ部屋にあまり物を置かないので、散らからずに一見綺麗に見える、というだけのことです。

もっともそうなったのはここ最近のことで、以前のぼくの部屋はそれはそれは酷いものでした。とにかく本本本……四囲の壁を埋め尽くす本の山で視界は覆われ、その上さらにテレビやらパソコンやらDVDの棚やらが部屋を浸し、人間の住める領域はあたかも腐海のほとりで生きる風の谷の如く小さな物でした。

知識こそが力であり、読書量が即ち戦闘力だ、と思っていた頃はとにかく本が手元にない暮らしなど考えられませんでしたから、こうした環境になることはある意味当然だったのかもしれません。その頃はそんな自分にまったく違和感など感じていませんでしたし、それが当たり前だと思って生活していました。もっとも、いちばん部屋の中が煩雑だった頃でも、一冊一冊の本の在処だけは不思議と把握出来ていたような気がします。

その後、増殖していく本とのすったもんだの共生生活の末、結局自室の書棚はすべて撤去し、新たに別の部屋を書庫とすることで部屋の中はずいぶんすっきりしました。(だいぶ苦労しましたけど)ただ、書庫は今のところふたつだけですが、今後増えていくかもしれないところが悩みの種ですね。(結構捨てたんだけどな。……ううむ)

それと、なまじ本棚を移動してしまったことで困るのがしまってあるはずの本を探せない時です。あ、あの本が読みたい、たしかあの本のあのページの下りにはこういうことが書いてあったはずだ、と思って探しに行っても肝心のその本がどこにあるかわからない。以前はその時点で頭にきて速攻でAmazonで同じ本を注文して確かめるということをしていましたが、それをやり出すと、家に同じ本が二冊も三冊もあるという事態になることに気づき、(当たり前ですが)この習慣はやめるようにしました。

理想を言えばやはり本は背表紙が見える状態で本棚に収蔵するのがいちばん美しく、また使いやすい状態なのでしょうね。ただ現実はそうもいかず、本が二段になったり、横になっていたり、適当な隙間に押し込んであったりと、秩序とも機能美ともほど遠い、ぼくの頭の中みたいになってしまうのが常ですけれど。

そういや、「本棚を見ればその人がどういう人かわかる」という言い方をよくされますが、これって当たっていると思いますね。本棚って、本当にその人の無意識の現れというか、その人が歩んできた過去を映す鏡のような気がします。(最近はKindleなどの電子書籍もありますし、一概には言えませんが)

では自分はどうかと、他人になったつもりで自分の本棚を眺めると、やっぱりこいつは歴史の本が好きなんだなーとあらためて思いますね。今日も先日届いた『占領下日本』を読了しましたが、すごく面白かったですし(これで『ザ・フィフティーズ』に戻れる)。やはり対談形式の本は読みやすいですね。にしてもこうしてみると終戦直後の日本って紙一重の連続だったんだな、と改めて思いますね。

もっとも、こうして気がつかないうちにいつの間にかひたひたと生活領域を侵していくところが本の恐ろしいところです。……もう少し整理整頓を心がけるべく、お部屋の掃除もきちんとしよう。